2022

ライカM6

いつもそばに、そして再びここに

ライカは、オンライン文化への揺り戻しとして高まるアナログ写真への新たな憧れに応え、タイムレスな「ライカM6」を復刻しました。改良されたファインダー、精度を高めた露出表示、そして伝統と現代性が同時に息づく、あの唯一無二の“Mの感覚”を備えています。

モノクローム写真:広場にぽつんと立つ多階建ての建物。爆撃で大きく損傷し、階は裂け、コンクリートスラブが垂れ下がっている。クレーンが上層階の一つに近づいている。
ウクライナ・ボロジャンカ 2022, スティーヴン・デュポン
© Stephen Dupont

ヨーロッパに再び戦争が

2022年2月24日、ロシアによるウクライナへの攻撃が始まり、ヨーロッパの安全という感覚は一瞬で揺らぎました。多くの人が、この地理的な近さで戦争が再び起こるとは思ってもいなかったのです。その終わりは見えず、政治や社会、人々の暮らしにどのような影響をもたらすのかも不確かなままです。報道写真にとっては、残念ながらあまりにも見慣れた現実への回帰でもあります。非常事態に置かれた人々の姿を、目を背けることなく勇気をもって記録する──それが求められているのです。

ニコール・トゥング、ピーター・ターンリー、スティーブン・デュポン、ドミニク・ナーは、多くの人々が逃亡せざるを得ない戦争の現場にカメラを持って赴きます。彼らは、最大の危険を冒し、現場から距離を置かないまま、その惨状を撮影し続けます。その惨状を、触れて理解できる形で残すためです。


モノクローム写真:畑に散らばっている、破壊されたヘリコプターの歪んだ、焼け焦げた残骸によじ登る軍服の男性。
ウクライナ・マカリウ 2022, スティーヴン・デュポン
© Stephen Dupont
モノクローム写真:平らな野原から飛び立つ戦闘用ミサイル。その後に巨大な暗色の煙と塵の雲が空に向けて垂直に立ち上る。

カブール郊外の朝霧の中で風船を売る男。ヴェロニク・ド・ヴィゲリーのこの写真は、まさに希望の光のように見える。紛争や不安が蔓延する中でも、戦争や独裁政権に苦しむ世界の片隅でさえ、日常生活の喜びは失われていないことを伝えている。




ほこりっぽい田舎道で、昇る太陽を背に走る自転車。自転車に乗っている人は、カラフルな風船の大きな束に覆われ、その風船は、荒涼とした風景の中に浮かぶ雲のように見える。
アフガニスタンの絵の具売り 2023, ヴェロニク・ド・ヴィゲリー
© Veronique de Viguerie

ライカM11

どの解像度でも、“本物”の画質を

「ライカM11」は、伝統と技術革新を一つに融合したカメラです。裏面照射型センサーは、6000万、3600万、1800万画素のいずれかを選んで撮影することができます。前モデルから50以上の改良が加えられ、長年続く「ライカM」システムの歴史に新たな1ページを刻んでいます。さらに2024年には、「ライカM11-P」に世界初となるライカコンテンツクレデンシャル機能(画像の真正性を証明するデジタル透かし)が搭載されました。

本物の世界

現実を模倣するAI画像がますます増えている今だからこそ、私たちが生きる世界がどれほど多様で豊かなのかを思い起こし、その姿を可視化することがいっそう重要になっています。ここに続く写真家たちは、「ライカM11」を通してさまざまなグラフィック空間やスタイル、物語、そしてビジョンを見せてくれます。厳密に構成された作品もあれば、遊び心あふれるもの、コンセプチュアルな作品もありますが、すべてに共通しているのは、どれも“本物”であるということです。

白いモーターボートの細部写真。目立つ黄色の窓枠、緑色のシートクッション、側面に木製の化粧板が施されている。
黄色いボート 2021, ラルフ・ギブソン
© Ralph Gibson

ラルフ・ギブソン


ラルフ・ギブソンは、鋭い視線で、光と影、そして正確な形からなる彼の世界へと我々をいざないます。「ライカM11」により、彼は、その映像言語の明確なリズムを失うことなく、細部を最大限に引き出す自由を手に入れるのです。


モノクローム写真:大きなカウボーイハットをかぶった子供。アイスクリームを手に前景に立ち、上を見上げている。背景には、ライトアップされた遊園地がぼんやりと輝いている。
ひらめきは、どこにでも 2022, キャスリン・ボイド・ブロリン
© Kathryn Boyd Brolin

キャスリン・ボイド・ブロリン 


本物のインスピレーションは、ときに家族や仕事、旅先での出会いなど、ただ少し目を凝らすだけで身のまわりのどこにでも見つけることができます。キャスリン・ボイド・ブロリンは「ライカM11-P」を手に、そんな日常のなかの繊細な瞬間をすくい取り、私たちに共有してくれます。


有名な映画のシーンの再現:子どもたちのグループとスーツを着た一人の男性が、恐怖で浜辺に身を潜めている。その頭上を、無数の鳥たちが低く飛んでいる。
鳥3 2021, サシャ・ゴールドバーガー
© Sacha Goldberger

サシャ・ゴールドバーガー


サシャ・ゴールドバーガーは、「ライカM11」を用いてアルフレッド・ヒッチコック作品の名場面を再構築しています。細部へのこだわりとノスタルジー、そして一瞬一瞬に宿る緊張感、そのどれもが画面に漂っています。彼のつくり出す舞台は、オマージュと自身の語りのあいだ――そのどこかに位置しているのです。


曇ったガラス壁の後ろで、暖かくぼんやりとしたレストランの照明の中で働くマスクをつけた女性シェフと男性シェフ。
餃子屋の厨房(ロンドン・ライル通り) 2021, ジョシュア・K・ジャクソン
© Joshua K. Jackson

ジョシュア・K・ジャクソン


ジョシュア・K・ジャクソンは、私たちを魅力的なロンドンのナイトライフへといざないます。濡れた舗道、ネオン、つかの間の出会い。「ライカM11」が、微妙なグラデーションによって、観る者を夜の深みに引き込むみます。


暗い水中に潜り込む人。その体は大きな気泡と渦巻きに包まれ、足と片腕だけがぼんやりと見える。
パルテノペ(人魚)、作品シリーズ『彼女たちの目』より 2024, ナレル・オーティオ
© Narelle Autio

ナレル・オーティオ


オーティオは、身体と光、そして気泡が漂う水中の世界へと私たちをいざないます。こうした高度で手間のかかる表現が、近年ではCGIやAIによって生成されることが増えている今、ライカはライカコンテンツクレデンシャル機能を導入しました。これは、撮影された瞬間の真正性を示すためのデータポイントを付与する仕組みです。「ライカM11-P」は、これを実現した世界初のカメラです。

ひとつの世界?

現代中国では、伝統と未来がとりわけ激しくせめぎ合っています。カイ・レッフェルバインは、世界第2位の人口を抱えるこの国を、変化の大きな舞台として見つめています。丹念に観察された彼のシリーズ『共通の夢』は、出稼ぎ労働から経済大国としての姿、そしてそのあいだに広がる多様な暮らしまで、共有される「夢」の数々を人間的な側面から可視化しています。一見すると、まるで別の世界を旅しているかのように映りますが、そこにあるのはむしろ、世界全体が共通して向き合っているコントラストを映し出す鏡なのです。

明るいネオンライトの下、長い生産テーブルでカラフルなおもちゃの人形を組み立てている工場労働者。
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パフォーマー

モノクローム写真:長椅子に膝を並べて座り、カメラに向かって笑顔でポーズをとるポール・マッカートニーとデイヴ・シャペル。
モノクローム写真:黒いイブニングドレスを着て、DJミキシングコンソールの後ろに立って集中しているレディー・ガガ。
真っ赤な光に包まれたステージ、背景には2本の淡いネオンブルーのLEDストリップが輝いている。真っ赤な光に包まれたステージ、背景には2本の淡いネオンブルーのLEDストリップが輝いている。レニー・クラヴィッツは、赤いスポットライトの中で、サングラスをかけ、片手でマイクを持ち、エレキギターを肩に掛けている。
モノクロームポートレート写真:膝の高さから空に向かって撮影されているジェームズ・ヘットフィールド。ステージ上でエレキギターを弾き、マイクに向かって歌っている。背景には大勢の観客とスタジアムの照明が見える。
ステージ上で赤いドラムセットの前に座るデイヴ・グロール。スティックと髪が飛び散り、彼はカメラに向かって強い決意を込めて見つめている。
モノクロームポートレート写真:白い背景の前に立つ、黒いスーツに帽子をかぶったゲイリー・クラーク・ジュニア。下を向いて、両手をジャケットの前に広げている。

物語の内側へ

ノートルダム寺院


現代における最大級の舞台のひとつは、拍手も観客もない場所、ノートルダム大聖堂です。トマス・ヴァン・ハウトリーヴは、世紀の大火災後に行われているこの大聖堂の大規模な修復の現場に寄り添いました。彼のシリーズ『ノートルダム寺院の36景』では、静かなパフォーマーとも言える職人たちの仕事を描き出しています。その忍耐、技術、そして責任の重さは、いずれも計り知れないものに見えます。





モノクローム写真:足場でできた高い塔。多くの作業員がさまざまな高さの層を行き交い、上へと向かっている。背景は曇り空。
「ライカ・ポルトガル50周年」のロゴ

ライカ・ポルトガル

50年にわたるつながり

2023年、ポルトガルのヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンにあるライカの工場が注目を集めました。ここで世代を超えて受け継がれてきた知識、温かなチームメンバーの結束、欠かすことのできない精密さ、そしてものづくりの精神そのものが、その中心にあります。1973年からライカファミリーの重要な一員であり続けてきたポルトガル拠点は、加速し続ける世界の中で揺るがぬ存在です。そこには、継続する力、勤勉さ、そして人と人をつなぐ写真への情熱が、今も息づいています。

大きなガラス面のある近代的な工場建物の入口の外観。鏡面に、木々、空、そしてファサードに映った赤いライカのロゴが映っている。
ライカ・ポルトガルの舞台裏 2023, ゴンサロ・フォンセカ
© Gonçalo Fonseca
複数のモニターと実験書類が置かれた机の横にあるオフィスの実験室で、立ちながら親しみやすい表情で横を向いてポーズをとる白衣に紫色のスカート姿の年配女性。
ライカ・ポルトガルの舞台裏 2023, ゴンサロ・フォンセカ
© Gonçalo Fonseca
クリーンな実験室環境にある大型の産業用3Dプリンター。実験用白衣を着た一人の腕が横から画面に入り、装置を操作している。
ライカ・ポルトガルの舞台裏 2023, ゴンサロ・フォンセカ
© Gonçalo Fonseca
広くて明るい工業用または研究用の廊下をカメラに向かって歩いてくる白衣の一団。頭上には、配管や金属構造物が天井に張り巡らされている。
ライカ・ポルトガルの舞台裏 2023, ゴンサロ・フォンセカ
© Gonçalo Fonseca
クリーンルーム内の作業台に座り、強力なランプの下でガラス部品を検査している白衣にヘアネットをかぶった女性従業員。彼女の上には、デジタル時計が壁にかかっている。
ライカ・ポルトガルの舞台裏 2023, ゴンサロ・フォンセカ
© Gonçalo Fonseca
生産工場にある、複数のノブと表示器を備えた大型の工業用緑色の機械。背景にはケーブルやその他の緑色の機器が見える。
ライカ・ポルトガルの舞台裏 2023, ゴンサロ・フォンセカ
© Gonçalo Fonseca
赤と黒のフロントと表示器を備えた大きな制御盤の前で書類を確認している実験用白衣にヘアネットをかぶった技術者。システムの上には緑色の警告灯が点灯している。
ライカ・ポルトガルの舞台裏 2023, ゴンサロ・フォンセカ
© Gonçalo Fonseca
明るい製造工場の中央のステンレス製のプランターに植えられた巨大な観葉植物。その背景では、複数の従業員がさまざまな作業ステーションで作業をしている。
ライカ・ポルトガルの舞台裏 2023, ゴンサロ・フォンセカ
© Gonçalo Fonseca
実験台で集中して作業しているライカの実験用白衣にヘアネットをかぶった若い女性。彼女は保護メガネを着用し、1つの作業用ランプの照明に照らされているが、背景は暗いままである。
ライカ・ポルトガルの舞台裏 2023, ゴンサロ・フォンセカ
© Gonçalo Fonseca
会社のロビーで逆光の中、大きなガラスの玄関ドアの前を通り過ぎる人々。暖かい太陽の光が床に長い影を作り、一日の仕事の終わりにシフト交代が行われているように見える。
ライカ・ポルトガルの舞台裏 2023, ゴンサロ・フォンセカ
© Gonçalo Fonseca
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